リメンバーミーがヤバヤバのヤバ

現在公開中の『リメンバー・ミー』のレビューを書こうと思ったのですが、ただただ「一刻も早く劇場公開中に観たほうがイイですよ!」としか言えないくらいの素晴らしい内容でしたので、内容にはほぼ触れず作品を観て感じた死生観についてつらつらと書くことにしました。

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※死生観について書くのはこの作品の舞台は死者の国だからです。

※ポエムをかいているだけなのでシナリオや設定に関するネタバレはありません。

 

一個だけ言えるとすると本作のスタッフは「トイ・ストーリー3」のスタッフのようです。トイ・ストーリー3は感情がものすごく高ぶらされるんだけど、積み重ねと動かし方がとてつもなく品が良くて、本当に最高のラストでしたよね。今回あれに匹敵する、あるいは超えてるんじゃなかろうかと思います。

 

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「人は死んだらどうなるんだろう?」

 

みなさん一度は考えたことありませんか?僕はあります。そしてそれを考えた時に必ず同時に訪れる「では人はなんのために生きるのか?」という疑問。

 

「生きる」を考えると、「死ぬこと」を考える。逆も同じ。照らしたら影ができる表裏一体。そしてこの疑問、万人に共通の答えはもちろんなくて、人それぞれ。唯一できるとしたら答えとして定めること。信じること。決めの問題LV.100。

 

最近わたしが考えていることは

「人は、自分の寿命以上に続く何かを求めて生きている」というもので、

この仮説、割と悪くない線行ってるのではと一人でその気になってます。

 

「自分の寿命以上に続く何か」の例をあげると、わかりやすいのはやっぱり子孫。自分が死んでも生き続けるであろうもうひとりの自分。とてもわかりやすい。もちろん血縁に限らずとも、ひとによっては事業であったり会社であったりプロダクトであったり、詩や歌や絵画や写真などの芸術作品であったり。

 

例えばスティーブ・ジョブズの肉体はなくなっているけれど、みんなiPhoneを持っていて、それを彼がつくったものだということは知っています。でも例えばこれが自分たちの子供や孫の世代になるとどうでしょう。

「ねえねえ、iPhone作ったの誰か知ってる?」「知らん。知る必要あるの?」って。いつかなりますよね。時の洗礼ってやつです。

※追記:1日経って読み返すとスティーブ・ジョブズを忘れられる例として挙げるってめちゃくちゃセンスなくてむしろ真逆の永遠に語り継がれる存在なのでなんでこんなこと書いたんだろう。

 

 

要は子孫でもプロダクトでもいいんですけど最後は「記憶」に集約されるよねという話です。

ありますよね。某あれ。どん。

 

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・・・人に 忘れ去られた時さ・・・!

 

これかなりこの通りだなと思うわけです。肉体の死の先には、記憶の死がある。いつかは死ぬけど、覚えててくれるひとはいて、でもそれもやっぱりいつかは忘れられるわけです。

 

わたくし2年前におばあちゃんを亡くしたときに同じようなことを考えました。

 

おばあちゃんをかたちづくっていた肉体がほどけたらおばあちゃんは「おばあちゃん以外の世界に」に溶けていく。ああ、これからは自分がおばあちゃんの一部を担当していくんだ。このお通夜、葬儀、告別式、初七日、四十九日、一周忌、、と言う一連のそれはたしかにそこにあった個人の生を体感し、つなぐことを自覚するのたの儀式なんだな。と。

 

ひとはしてもらえたことはしてあげられる。風邪をひいた時暖かくして寝かしつけてもらえること。りんごをすりおろして食べさせてもらえること。全部おばあちゃんから母へ。母からわたしへ。わたしからまた誰かへ。そうやって信じたくなる巡りあいに出会えときに、今までより死というものがあったかいような。。怖くないような。。いや、怖いけどね。

 

閑話休題

結局作品のことにも触れますとですね、とにかくストーリー、キャラクター、世界観、全てが圧巻。素晴らしいのひとこと。天才たちが寄り集まって妥協せずにしっかり時間をかけて正しい仕組みでものをつくると、ここまでのものが出来上がるという事実にただただ感銘を覚えます。

 

一部の記事で『Pixer初のミュージカル映画』とかなぜか記載されてましたが、あれはなんだかマーケティングの都合が強い紹介のされ方であんまり気にしなくても良いのかなぁと思いますよ。(でも音楽も素晴らしいということは間違いないです)

 

ひとは死んだらどうなるのか?

 

こんだけ長々書いたけど、結局わからないですよね。嫌な言い方をすると今まで書いてみたこともただの妄想、、というか希望的観測であって。でも、もし、本当に死後の世界がこの映画のようだったら、、、いいなぁ。いいかもなぁ。むしろどんなにいいだろうか。アニメやフィクションの特権である「信じたくなっちゃう嘘」がここにはあります。

 

以下は蛇足として、

この映画はPixerやDisneyにおけるいちばんのヒットのかたち、いわゆる王道である「西洋のおとぎ話をモチーフにしたプリンセスもの」ではありませんし、愛くるしいおもちゃも可愛いモンスターも出てきません。

 

モチーフやベースになっているのは死者、ドクロ、メキシコ。どちらかといえば特に親しみやすい、愛しやすいものではない部類のものでしょう。それでも脚本の完成度、表現力、キャラクターデザインの力、全体を貫くテーマの普遍性で、興行的にも成功するところまでもっていってしまえる自分たちへの自信。本当に本当に素晴らしい。

Disney/Pixer恐るべし。特にトイ・ストーリー3のスタッフはマジで恐るべしです。トイ・ストーリー3から8年かかった作品が今作のようですが、もしまた同じスタッフでつくるなら8年位平気で待っちゃう。※思えばトイ・ストーリー3のラストも「つないで」終わりましたね。

 

この映画を「新しい水準のおとぎ話」と表現していた映画評論家がいらっしゃいました。まさしくその通り。親や親戚の子供に思わず伝えたくなる物語で、Disney/Pixerの黄金期まだまだ続きそうだなぁと思わされました。